今年も日本動物愛護協会様から
を送っていただきました。
以前も少し書いたかもですが、7月くらいになるとほとんどのご家庭でエアコンは入っているので、むしろ今から6月あたりが
熱中症注意な期間とも言えます。
とにかく蒸すと熱がこもるので、少なくとも除湿はしたほうが良いですし、昔のような土間があったり床がタイルの風呂のような冷が取れる場所もないので、ひんやりシートや凍らせたペットボトルなどの工夫もしてあげたほうがよいでしょう。
開院から16年半、当院では幸いにも担ぎ込まれた
熱中症の動物で亡くなったことはありませんが、飼い主さんが帰宅されたら「おそらく
熱中症で亡くなっていた」というご連絡を頂いたことはあります。
こればっかりは「対策して防ぐ」ことが最善ですので、今すぐできること・・・例えば暑い時間に散歩にでていたら早朝や夜間にする、などは今日からできますね。
自分が車を運転していて、昼下がりなどにワンちゃんを散歩させているのを見かけるだけで、ハラハラしますし大丈夫か不安になるものです・・・・。
さて、前回の続きですが、仕事をするうえで、動物にとっても、飼い主さんにとっても、スタッフにとっても、自分にとっても「できるだけストレスを発生させない」ことが重要であると考えています。
我々の仕事は、ストレスをどうマネジメントするかをちゃんと考えるか否かで、長い目で見るとそれぞれの人生、犬生、猫生に大きく違いが生じると思いますし、影響が出ると考えます。
治療で病気が治る、治らないで考えると、治らないことなんていくらでもありますし、つきあっていかないといけない病気もたくさんあります。
そして、生き物である以上、当たり前ですが死亡率は100%です。
しかしながら、「できるだけストレスをかけない治療方針」「できるだけ自覚症状はなんとかする治療方針」であれば、その動物が生まれてから亡くなるまで全部の時間、有意義な治療方針を考えることができます。
そういった方針をご説明し、ご理解いただいている飼い主さんが多くご来院されておりますので、我々としても日々有難く仕事ができます。
しかし、我々も人間ですので、なかなか難しいことも直面します。
相互理解ができず、仕事がストレスフルになる場合もあります。
ひとつの例を。
とある病気の猫で、その病気に関しては診断もついて治療も順調であったんですが、飼い主さんから「口臭をなんとかしたい」というご相談を度々受けていました。
しかし、私は何度嗅いでも口臭を感じず、口腔内も全く問題が無い。
私は、この猫さんは口腔内には問題が無い。そもそも普通の猫よりも口臭も少ない。飼い主さんがスキンシップを行い、わずかな口臭が気になる可能性はあると思うが、診察する限り治療適応な症状でもなく、また歯磨きや口に入れることも嫌がるので、これを治療すること自体が不要であるし、猫のストレスになるので、飼い主さんが許容したほうが現実的だと思う、と伝えました。
「でもなんとかしたいんです。」
これを、診察のたびに、15分20分、同じ話を繰り返し。
同じような話の診察をを3、4回しました。
どう懇切丁寧にご説明しても、ご納得することができない人だと判断しました。
その後、治療中の病気の内容を記した書面をお渡しし、申し訳ないが当院は貴方の願望には対応しがたい、今後は他の病院へかかるように指示しました。
その飼い主さんは、その口臭を治療しましょうと言って頂ける先生にかかられたほうがいいのです。私は、問題ない状態の猫に、わざわざ日々嫌がる可能性がある口のケアをすすめることはできないので、私の治療方針と飼い主さんの願望にミスマッチがあったということです。
お互いにストレスがかかることはもう終わりにしましょう、ということです。
我々は、できるだけ飼い主さんと動物に最善の治療方針と診断治療を提供したいと考えていますが・・・
我々が治療しにくい、指示を聞いていただけない、いくら努力してもご納得して頂けないと感じる飼い主さんに対しては、我々が十分に力を発揮できないので、不十分な仕事をご提供することはむしろ申し訳ないので差し控えることが最善という判断をします。
ですので、相性の良い他の病院さんを探されることをおすすめすることや、お断りすることもあります。
我々にも人生があります。
仕事があり、家庭があり、趣味の時間があり、それらをどうやって後悔することなく前向きにできるだけ明るくやっていくかを考えています。
ストレスから解放される人生はあり得ませんが、意識してストレスを減らす、発生させないように努めることは大きな意義があります。
否定的なネガティブワードを用いず、飼い主さんとの会話は最大限ポジティブワードで行う。
手術などの予定が偶然ぽっかり空いた日などはランチに出ることもあったり。
誰かがミスした時は「疲れてるのかな、心配事とかないかな」とまずカバーする、全員「ダラダラせずできるだけ早く帰ろう」ということは一致している、といった、極力前向きに仕事できるような「気の持ち方」というのはあります。
休診日前に具合の悪い動物さんは休診日に時間を決め対応することは多いのですが、
「先生休みないね~、ちゃんと休んで下さいよ。」
と言って頂けることもたまにあります。
そういった労いの言葉を頂けると、よし頑張ろうと思うものです。
逆に、願望や要求を突きつけるだけの言葉は、まともに受けると心にダメージを受けますし、必要なこと以外は聞き流すことだってあります。
なぜなら、診察の上でその動物に獣医療的に必要なことを判断するのは獣医師側であり、その治療内容をどうやっていくか、動物の状況、飼い主さんの状況、コスト、現実性などを総合的に勘案し、できることできないことがあるか、など話し合っていくかが「ふつうの診察の流れ」です。
診断治療に関係ない、あるいは必要性が低い、医療内容を飛び越えた飼い主さんの「願望」を叶える場ではないからです。
我々が仕事として努力してなんとかできる領域と、飼い主さんにしかどうにもできない領域とあり、通常は我々も飼い主さんもすり合わせ相互協力をして、その動物に最適な方法を無意識のうちに探っているのです。
現在、当院に来られている飼い主さんは、ほぼ100%、問題なく仕事させて頂いており、有難い毎日です。
スタッフや私が心身ともに良い状態であり機嫌よくいられること、日々の診療で飼い主さんおよび動物にとっても、とても大切なことではないでしょうか。
私は診療中常に「動物、飼い主さん、スタッフ、自分」全方向のストレスマネジメントを考えています。
それが、良い診療につながる原理原則だと信じています。
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